このテーマでは、全国津々浦々にあるＳＡ・ＰＡと道の駅について説明します。ＳＡは「Service Area」の略称，ＰＡは「Parking Area」の略称で、高速道路や自動車専用道路に置かれる施設で、また道の駅は一般道（主に国道・都道府県道）に置かれる施設で、ともに道路利用者のために造られた休憩施設のことです。

（８−１）サービスエリア（ＳＡ）とは？
　定義としては、「高速道路，有料道路などにおおむね50km置きに設置される休憩施設のこと」とあるが、実際はもっと短いところ，長いところもあります。また、北海道エリアだけは定義自体が80km置きに設定されています。そもそもＳＡは高速道路上は路肩に商業施設などを建ててはいけないという決まりがあるため、休憩・食事・自動車の整備や給油のために設けられています。
　従って、一般的にＳＡには、ある程度の広さがある駐車場，トイレ，無料休憩施設，レストラン，売店，案内所，ガソリンスタンドが設置されているのが標準設備になります。が、現実的にはその充実度は交通量などにもよって多様化されています。実際にはＳＡより隣のＰＡの方が規模も設備も充実しているような逆転ケースも発生しています。

　本四連絡道，首都高，阪高などを除いた旧道路公団の高速道路・有料道路は、このＳＡ（ＰＡも含めて）の施設運営は「財団法人道路施設協会」というところが一手に受けてやっていました。しかし事業の独占化による弊害が専門家などから指摘されるようになり、同じ財団法人で「道路サービス機構（J-SaPa）とハイウェイ交流センター（HALLO SQUARE）という2つに分割させ、両方が全国に入り交じるようにしました。現在は、道路公団の民営化に伴い、NEXCO東日本エリアは「ネクセリア東日本」が、NEXCO中日本エリアは「中日本エクシス」が、NEXCO西日本エリアは「西日本高速道路サービス」の管理会社が運営しています。

　ＳＡには普通にあり、ＰＡにはあまりない特徴的なものとして、1つはインフォメーション（＝案内所）があります。もちろん、インフォメーションのないＳＡもありますが、そこでは周囲の高速道路の情報や料金を調べることや、ルート地図の販売、地域情報なども調べることができます。もう1つはガソリンスタンドで、高速道路の有料区間では一般道に途中下車できないので、ＳＡ（一部ＰＡにもあり）の給油所が唯一の燃料補給手段になります。長距離を高速道路で走る場合は、次の給油所までの距離は把握する必要があり、ＳＡは50kmごとにあっても、給油所は100km以上離れていることも多く、深夜は営業していないことも多いので注意が必要です。

（８−２）パーキングエリア（ＰＡ）とは？
　定義としては、「高速道路，有料道路などにおおむね15km置きに設置される小規模な休憩施設のこと」とある部分で、ＳＡと区別されます。しかし、現実には例外が沢山あるようで、50kmも離れている例もあれば、ＳＡより規模が大きいＰＡもあったりしています。

　一般的にＰＡの利点・問題点は以下のようなものがあります。
（利点）�@団体客などはあまり利用しないので落ち着いて比較的ゆっくり利用できる。�A施設内での歩く距離が短くて済む
（欠点）�@駐車場が狭い　�Aトイレの個数も少ないため順番待ちになることもある

　しかし、道路公団が民営化になってからは、ＰＡ内にファミリーマート・ミニストップ・ローソンなど大手のコンビニやファーストフード店が出店することも許されてきたので、ＰＡもＳＡなみの便利さになってきつつあります。一方では中国道のように大半の長距離ドライバーは山陽道にシフトして交通量が激減したために、売店などをなくしてトイレと自動販売機のみにしてサービスを縮小するような事例も発生しています。また、無料区間の高速道路は、道路上のＰＡ・ＳＡをなくしてインターチェンジに道の駅としてＰＡの機能も果たすような事例も増えています。（無料なので一旦流出しても何の問題もないから）
　そのような意味合いから、最近の状況を見てみると、ＳＡもＰＡも規模の違いこそはあるものの、明確な差がないような感じがしてきています。どちらかというと、標識でＳＡの方が目立っている分利用者も多く、行楽期などの混雑状況からＰＡを利用する方がゆっくり休憩できる感じが私的にはしています。
　最近ですが、高速道路を利用する機会が非常に増えたので、その移動の退屈しのぎにＳＡやＰＡに設置されている記念スタンプを訪問した証みたいに集めるようになりました。ＮＥＸＣＯの3社がそれぞれスタンプ帳をインフォメーションセンターで販売していて、設置されている場所が全てわかるようになっています。道の駅と違い基本的に24時間押印可能な場所が大半なので、立ち寄りさえすれば集めることが可能です。ただ、上下集約型の施設を除けば上り線・下り線で別扱いになっているので、コンプリートするための数は意外と多いです。私的には仕事で頻繁に利用することから、会社経費で高速道路も使うし、割と簡単に集められそうだから少し自分で縛りルールを作りました。
　�@ 高速道路を利用しないで一般道からは訪問しない
　�A スタンプを集めるための目的でわざと各駅停車のようにＳＡ・ＰＡに立ち寄るようなことはしない
　�B ３年で全部集めるのが目標（2016年7月〜2019年6月）

（８−３）主要道のＳＡ・ＰＡ設置状況
　主要高速道路・有料道路のＳＡとＰＡの設置状況は以下の表のようになっています。（首都高・阪高のPAは省略）
　ＳＡ：▽印はトイレ・売店程度しかないＰＡなみのサービスしか提供できていないところ，▼印はトイレのみの提供だけ
　ＰＡ：△印はレストラン・給油所などＳＡなみの設備があるところ
　両方：☆印はインターチェンジ併設、★印はスマートICがあるところ

（８−４）道の駅とは？
　高速道路の休憩施設としてＳＡやＰＡは早くから確立されていましたが、一般国道や都道府県道の休憩施設は、民間のドライブインや土産センターがその役目を担っていました。しかしながら、ドライブインは夜間や定休日は利用が出来ないし、昼間でもそのドライブインの施設を利用する者しか休憩できないという制約がありました。また、高速道路網が充実することで、ドライブイン自体の利用者も減り、潰れる店も増えて、一般道の休憩施設が少なくなりました。その中で、高速道路のＳＡのような機能を持って、24時間，365日誰しもが利用できる施設として1993年に全国で103箇所で登録したのが「道の駅」です。

　マークは左のようなマークで、おそらくどこかで見かけているとは思います。

　以後、その登録数は伸び続け、2017年10月の第48回追加登録で1134ヶ所にまで増えました。道の駅は当初は各市町村で一カ所が普通でしたが、平成の大合併により、最大で1市町村で8カ所(＝岐阜県高山市)もあるところもあります。しかしながら、国土交通省の構想では主要国道なら概ね10�q間隔ぐらいの設置としているので、現状の分布から考えると、2000ヶ所くらいまで増えてもおかしくないと思われます。
　各都道府県別に見てみると、当然ながら面積の広い北海道が121ヶ所でダントツのトップですが、次が岐阜県の56ヶ所、長野県が北部と南部を併せて46ヶ所、新潟県が39ヶ所、兵庫県が35ヶ所で面積が広い県が上位を占めています。しかし、東京都八王子市にも1ヶ所の道の駅ができたため、現在は47の都道府県全てに設置されています。

　道の駅として登録されている場所は、様々な形態がありますが、共通していることがいくつかあります。
�@24時間自由に使用できる駐車スペースとトイレがあること
�A道路や観光スポットの情報提供施設があること
�B地域住民のための防災拠点として機能できること
があり、あとは各施設が独自性を出すために、特産物を販売したり、飲食店として提供したり、文化施設や観光施設を併設したり、公衆浴場や宿泊施設を併設するなど、多種多様になっています。駐車スペースとトイレ以外は24時間営業である必要もなく、年中無休である必要性もありません。豪雪地域では冬季閉鎖の駅もあります。

　道の駅が新たにできるパターンはいくつかに別れますが、最近は�Aのパターンが増えているように思います。
�@全く新規に道の駅として整備するケース
�A従来からあった民間の商業施設などを改修して道の駅とするケース
�B高速道路のＰＡやハイウェイオアシス自体が道の駅となるケース
�C鉄道駅・空港・バスターミナル・フェリー乗り場が道の駅となるケース

　この道の駅は、平日でも利用者が結構あり、民間のドライブインよりも賑わっています。かなり遠くの場所から道路標識によりその存在を周知させているため見逃すことがないということ、市販の「るるぶ」などの旅行ガイドや道路地図でこぞって取り上げて宣伝していることがあります。私なりにいろんなサイトや雑誌で見ていたら、道の駅そのものが観光の目的地になっているような記事も見たことがあり、それはそれぞれの道の駅で扱っている特産物や郷土料理に魅せられて来訪されているようです。もちろん施設による人気の差はありますが、過去に登録を抹消したのは京都府にあった「和束」と兵庫県の「山崎」の2ヶ所のみという実績もたいしたものです。完全に民営化しているわけではなく、国や地方自治体の補助もあるからこそ成せる技でしょう。

　道の駅は、9つのエリアブロックに別れており、例えば私の住んでいる近畿ブロックは大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山・福井の7府県にある道の駅が対象になります。長野県だけは北部が関東ブロック、南部が中部ブロックと別れています。各ブロック毎で様々なキャンペーンなどのイベントも盛りだくさんで、Webサイトもブロック単位であります（下記一覧表参照）。

　最近ブームになっているのはこの道の駅1つ１つに設置されているスタンプラリーで、期間内に一定の集めた数に応じて特産品の土産物が当たるイベントをしています。それ以上に頑張っているのは、期間が決められていないのですがエリア全ての道の駅をコンプリートすると「完走証明書」というのがもらえるみたいなんです。私も9エリアのスタンプ台帳を手に入れて、立ち寄ったら記念に押して集めています。但し、道の駅は高速道路のPAと違って、スタンプが24時間押印できるところはほとんどなく、案内所や物産館などの施設がオープンしている時でしか集めることはできません。従って、道の駅が定休日なら、その日は行ってもスタンプがもらえないわけです。ただ行くだけで集まらないのがポイントなんです。
　先ほど、道の駅は半年毎に増えていると説明したので、「コンプリートしたと思ったらもう新しい道の駅が増えているからいつまで経ってもゴールが見えない」と感じた方はいませんか？エリア毎に詳細のルールは違いますが、「完走証明書」を獲得するなら以下の方法で完走扱いになります。
　１．道の駅のスタンプ帳を買う（各エリアの道の駅の物産コーナーまたは案内所で販売していますが、売っていない施設もあります）
　２．そのスタンプ帳に掲載されている道の駅のスタンプを全て集める。
　　　但し、災害・長期休業でお休みの道の駅はコンプリート対象から外れています。
　３．期間中に新しい道の駅がオープンしても、その施設はコンプリートの対象から外れます。
　４．全て集めるまでに自分が集めているスタンプ帳より新しいものが発行され対象の施設が増えていたら、その増えた分も集めないと完走扱いになりません。その場合は新しいスタンプ帳は増えた分の施設の押印さえあれば、旧スタンプ帳と合算してコンプリート扱いになります。
　５．一番最新のスタンプ帳に付いている「完走証明書応募」の用紙に所定事項を記入して応募する。
　６．さらに9エリア全ての「完走証明書」をもらった人は、全国全てをコンプリートできた「完走証明書」をいただける制度が2016年よりスタートしました。
　　　2016年度分の応募は終わりましたが、まだ10人もいないと思います。

2015年になってからですが、「重点道の駅」という言葉を聞きます。これは、道の駅も1,000ヶ所以上になると甲乙つけるとかなり施設によっての差が出始めています。初期の頃にできた道の駅でも施設の改装・拡充によって充実しているものもあれば、老朽化が進んで手狭になっているものもあるし、新しくオープンした道の駅でも既存の民間施設を改良しただけのものもあります。
　その中で、地域活性化の取り組みや貢献が高い道の駅を「重点道の駅」として表彰し、全国津々浦々にある道の駅の模範モデルとして、国からの支援も少しばかり手厚くなるような待遇も受けています。
　2015年3月に全国モデル「道の駅」が6ヶ所、重点「道の駅」が35ヶ所、重点「道の駅」候補が49ヶ所選ばれました。重点「道の駅」は1ヶ所で複数の道の駅が合わせて指定されているもの（伊豆道の駅ネットワークなど）やこれから道の駅に登録される計画中のものも含まれています。

（８−５）各都道府県別の道の駅設置状況
　1134駅の分布状況の詳細を一覧表にして示します。2つずつチェック欄も設けているので、印刷して自分の行った施設のチェックシートなどに活用していただいても構いません。新しい施設がオープンしたら随時更新しています。
　そのうち3ヶ所は災害で長期休業している道の駅です（＝駐車場も含め利用することはできません）
　以下のようにどの道路に面しているかの色分けはしていますので、参考にして下さい。
　　高速道路・自動車専用道路のＰＡ・ＳＡ扱いになっている施設＝赤色（基本的に一般道側から利用できる道はあります）
　　一般国道（1号線〜58号線）＝橙色
　　一般国道（101〜507号線）＝白色
　　主要地方道＝緑色
　　一般県道＝黄色
　　市町村道・農道＝青色

（８−６）まちの駅とは？
　最近、道路標識などで「まちの駅」というものが見受けられ、「道の駅」と混同しがちになりますが、少し違います。
　その地域への来訪者に休憩施設とトイレを自由に使えるようにしている部分，観光案内などの情報を発信している部分では、道の駅と同じ機能を持っています。しかし、道の駅は市町村に代わる公共団体が運営しているのに対し、まちの駅は民間業者がそのまま運営している小売店みたいなまちの駅もあります。また、設置自体も一市町村に1つとか、何�q間隔にするとかの決まり事がないので、どこでも設置することができます。

　　マークは左のようなマークで道の駅とは少し違っています。

　設置数は全国に1,600ヶ所以上もあり、道の駅の1.5倍以上の数量があります。ただし、全国的に見たら非常に偏った分布になっており、百ヶ所以上あるのは、栃木県（＝193ヶ所），福岡県（＝167ヶ所），静岡県（＝129ヶ所），新潟県（＝103ヶ所），富山県（＝100ヶ所）で、道の駅が114ヶ所もある北海道でもまちの駅は19ヶ所しかありません。大阪府，奈良県など6府県はまったくありません。
　これは、都道府県によっては道の駅のように点在しているだけではなく、「ネットワーク型」と呼ばれ、1つの拠点にある小売店などの1つ1つが「まちの駅」として登録されているために、1拠点で50ヶ所以上もあるような場所（例：福岡県の「あまぎあさくらまちの駅」のように53ヶ所もある）もあるからです。

　違う拠点にあるまちの駅自体がネットワークを結んで、道の駅のスタンプラリーのようなイベントや、コラボレーション企画などはあまりやっているのを聞いたことはありません。
　詳細は「まちの駅連絡協議会」というところのWebサイトでも紹介しているので、そちらを見てください。