国道439号線                 

①快適さ→★★★(狭路が全単独ルートの5割を越えるので交通量が少なくても時間はかかる)
②退屈度→★★★★★(絶対飽きることはありません。スリル満点で逆に運転技術が未熟な人はムリ)
③整備度→★★(四国最悪の酷道といわれるだけのものはあるが、快走路もある)
④景色→★★★★★(山と川に囲まれた自然豊かなルートで県境の京柱峠の眺望も良い)
⑤施設→★★(山の中なのでGS・コンビニ・飲食店が非常に少ない。特に給油に注意)
⑥観光地→
★★★★(奥祖谷渓谷・早明浦ダム湖畔・四国カルスト・四万十大正の郷土民家など) 
総合評価点
73
正規区間 起点 徳島県徳島市(徳島本町) 終点 高知県四万十市(右山) 337.7km
実質区間
(端末重複区間)  
起点側 起点~徳島県徳島市(元町)⇒国道192号線 0.8km
徳島県徳島市(元町)~徳島県三好市(見ノ越)⇒国道438号線 74.9km
(うち徳島県神山町上分付近の1.2kmは国道193号線)
▲75.7km 262.0km
終点側 なし 0.0km
重複区間
単独キロ  
上位 国道32号線⇒高知県大豊町(西土居~高須) 11.4km
国道194号線⇒高知県いの町(上八川甲~広瀬) 5.8km
国道33号線⇒高知県仁淀川町(川口~大渡) 6.4km
国道197号線⇒高知県津野町(北川) 1.2km
国道381号線⇒高知県四万十町(大正) 2.6km
▲27.4km 234.6km
下位 国道494号線⇒高知県仁淀川町(長屋~川口) 4.1km  0.0km
未開通区間 なし   0.0km
海上区間 なし   0.0km
本線に並行する
主なバイパス  
  特になし   
経由地 徳島県 三好市
高知県 大豊町・本山町・土佐町・いの町・仁淀川町・津野町・四万十町・四万十市
道の駅 (1)土佐さめうら(高知県土佐町)【高知-11】
(2)633美の里(高知県いの町)【高知-18】⇒重複する国道194号線にある
(3)四万十大正(高知県四万十町)【高知-4】⇒国道381号線と共用
接続国道・高速道 【徳島県三好市】→国道438号線(美馬・坂出方面)
【高知県大豊町】→国道32号線(三好・高松方面/南国・高知方面) 高知道(大豊IC)
【高知県いの町】→国道194号線(西条方面/高知方面)
【高知県仁淀川町】→国道494号線(久万高原方面) 国道33号線(佐川・高知方面/久万高原・松山方面)
【高知県津野町】→国道197号線(須崎方面/大洲・八幡浜方面)
【高知県四万十町】→国道381号線(窪川方面/江川崎・宇和島方面)
【高知県四万十市】→国道441号線(江川崎方面) 国道56号線(須崎・高知方面/宿毛・宇和島方面)

●実走レポート(2011年8月 終点⇒起点への逆行) 
この路線は、酷道ファンにとっては全国的に有名で「ヨサク」の愛称で知られている四国最恐といわれている酷道です。東海北陸の418号線がダム建設に伴う道路改良ができれば、日本三大酷道に入るぐらいのレベルです。まず走りきるための距離が非常に長いです。正規距離に至っては四国で最長の路線、重複区間を引いても56号線の次に長い距離になります。その大半の区間が道路改良が行われず狭路区間になっているのです。坂出~徳島の438号線の徳島県区間が1993年にルート変更されたことにより、75kmの重複区間ができたため、439号線の徳島県側の実質の端部は三好市の見ノ越ですが、ここが標高1410mの峠で街まで抜けるには438号線の酷道区間を美馬市か徳島市方向に下る必要があるので、この439号線を攻略するには、1日がかりでは困難かもしれません。私は終点方向の四万十市から入りましたが、午後からなので途中で野宿しています。主な難関は5つある峠越えで、そのうちの大峠は2002年に2928mの新大峠トンネルができたことによりほぼ解消されましたが、残りの杓子峠・矢筈峠・京柱峠・見ノ越は難関ポイントです。天気は2日間にわたり安定していたので、危なげなく走破できましたが、事前の天気予報で大雨になりそうな場合は、入ることをあきらめた方が無難です。それほど危険な箇所もありました。また夜も路肩のガードレールもない場所も多いので注意すべきと思います。路線概要はこのくらいにして、走りながらのレポートに入ります。
起点の四万十市は昔は中村市と呼ばれていた時の中心部からです。すぐに四万十川流域を走る441号線と別れ、439号線は峠越えの道になりますが、それでも20kmは片側1車線の快走路が続いていました。しかし、狭路区間に入るといきなり道幅が半分になります。ほとんどが離合不可能で、当然ながら大型車はムリです。普通車でもカーブの内側が谷になっていてガードレールがないと脱輪しないか心配です。最初の難関になる杓子峠は標高465mで、終点の見ノ越と比べるとかなり低いですが、スタートした場所が海抜0mに近い海沿いなので、かなり登った実感があります。要は高知県側から走ると、峠への上りはきついですが、下りは少なめで、どんどん標高をかせいでいくような形になります。下りは3kmほどで381号線にぶつかり、さらに3km走れば単独区間になりますが、ここから197号線の交差点までは峠はなく、四万十川支流の檮原川に沿って徐々に登っていく感じの道です。川沿いと言ってもほとんどが狭路区間で、川の流れに沿っているのでショートカットするようなトンネルも少ないです。
197号線と1kmほど重複すると、また439号線は山登りの区間に入ります。四国カルストで有名な天狗高原へも途中まではこの439号線を使うのが便利です。2つめの難関になる矢筈峠は標高750m。ただこの峠は最後は800mほどのトンネルになるので、1つめの杓子峠越えよりは楽にクリアできました。仁淀川町まで下れば33号線に合流します。いろいろ写真撮りながら走ってここでほぼ夕方になったので、この先は日没になると判断し、一旦高知方面まで給油地と食事場所を探して野宿しました。仁淀川町内はそういう店はあまりありません。33号線から194号線まではかつては大峠という第3の難所区間がありましたが、現在は3km近いトンネルが開通して難なく通り抜けができるようになっています。さらに大豊までの40kmもほぼ整備が完了し、大型トラックでも難なく走ることができる道になっています。高知道の大豊ICとも接続しているので、高知道からこのような山間部への輸送手段もこの439号線を活用できる区間になっているのではないかと思います。
でも439号線が便利なのもここまで。ここから先の県境越えは、かつてない難所が待っています。32号線から分岐して京柱峠の案内に従って入ると、前置きなしにかつてない狭路が出てきます。ここから峠まではひらすらの上り坂で、一気に高度を上げています。かなり標高の高いところまで集落があり、この辺りに住む人の大変さを感じました。住居が全くなくなる辺りから上は冬期閉鎖区間になり、ほどなくして県境の京柱峠に到着します。標高で1130mもあり遠くまで見渡すことの出来る穴場スポットです。でも高知側・徳島側のどちらからでも、大変な苦労があるので、あまりヘビーな道が苦手な方は来るのはムリでしょう。徳島県側は東祖谷までの下り道がまた荒れ放題の路面で、ダートと思わせるような感じです。天気が悪いときは走りたくないですね。東祖谷の集落でかずら橋方面から来た県道32号線と交差すると、あとは最後の難関の見ノ越に向けての上りです。32号線からここまで来た時の道よりは走りやすいと思いますが、逆に交通量も増えるので要注意です。終点の10km手前にあまり知られていない奥祖谷かずら橋があり、それも越えて一気に登り切った見ノ越が439号線の終点になります。四万十市から262kmを走ったところですが、来たルートを戻ることも含め3方向のどこに抜けるにしても酷道しかないというのがホッとできないところです。

●沿線フォトギャラリー
【1:序盤戦 四万十市~杓子峠越え~津野町】
1→国道56号線の右山交差点から439号線は始まります。給油・食料などの買い込みは入るまでに済ませておく方が無難です。 2→最初の目的地は「大正41km」になっていますが、この41kmだけでも大変です。 3→ここで441号線が分岐します。441号線は四万十川の清流沿いで、439号線は峠越えです。
4・5→この辺りがまだ走りやすいこともあり、しつこいように「大型車通行不能」の警告標識がありました。先にある酷道のレベルに若干の期待があります。 6→それでもしばらくは幅広の快走路が続いていました。
7・8→異常気象時の通行規制の標識が出たと思ったら、すぐに狭路区間が始まりました。それでも四万十市から20kmは走りやすい快走路区間でした。 9→これまで走ってきた道と比べるとこの落差はすごいです。
10→こういう看板が時々あるので、大雨の時はムリして走らない方が良いと思います。 11→山側は落石覆いもなし、谷側はガードレールもなしです。 12→たぶん雨が降れば川になる洗い越しでしょう。
13・14→最初の難関である杓子峠に着きました。標高は465mなのでこれから向かう場所に比べればまだまだですが、あまり視界は開けていません。「四万十市」と「四万十町」どちらも全国的に有名な四万十川をアピールしたいので同じ名前になってますがややこしいです。 15→これから3kmほど下り道になります。
16→下に見える位置まで下っていきます。 17→四万十川支流ですが渓谷がきれいで水も澄んでいます。 18→四万十町大正で381号線と交差し、左の宇和島方面に3km弱重複します。
19・20→交差部分にある道の駅「四万十大正」です。道の駅にしては比較的静かな感じの場所でした。天然鮎を使った「アユ丼」のようなものが休日限定で販売されているようです。 21→439号線は直進方向になり、381号線重複区間から単独区間になります。
22→天狗高原70kmは四国カルストのある場所までの距離で、その手前に197号線の交差点がある檮原があります。 23・24→分岐して最初は結構整備された道ですが、それもすぐ終わりまた狭路区間に入ります。
25→道が狭くなると異常気象時の通行規制区間になります。 26→狭路区間でも標識だけは立派なものが設置されている場所が多いです。 27→四万十川支流になる檮原川にある津賀ダムです。
28→381号線から197号線までのルートは、ほとんどが檮原川沿いに走ります。 29→床板は鉄板ですが、渡ればかなり揺れそうな吊り橋もありました。 30→異常気象時の通行規制区間は抜けました。
31→部分的ですがこのような快走路への道路改良もできています。 32→でも大半はこんな感じで、まだこれでも走りやすい方です。 33→津野町北川で197号線に交差し、右の高知方面に向かいます。
【2:中盤戦 津野町~矢筈峠越え~大峠越え~大豊町】
34→197号線との重複区間は1kmほどです。写真33との比較でわかるかもしれませんが、「天狗高原」はどちらから行くべきと思いますが、この写真のように439号線経由の方が行きやすいです。 35→津野町は四万十川源流のある町で、ここも四万十川をアピールの材料にしています。 36→天狗高原までの入口までは439号線は快走路になっています。
37→国道33号線までは26km。この途中に第二の難関になる矢筈峠があります。 38→ここが四国カルストで有名な天狗高原への分岐で439号線は右側を走ります。 39→ここが矢筈峠こえの矢筈トンネル(L=813m)です。トンネルを越えたところで標高750mになります。
40→狭路のだだ下り区間になりますが、1つめの杓子峠よりはまだ走りやすいです。 41→これは大峠のように長大トンネルを整備しているのでしょうか? 42→仁淀川町に近づくにつれて走りやすい道になってきました。
43→仁淀川町の大渡交差点で33号線と交差します。ここでは高知方面に走ります。 44→6km余り走った川口交差点で439号線がまた別れますが、今度は494号線と重複します。 45→「上八川26km」が194号線との交点になります。
46→仁淀川町長屋交差点で494号線と分岐します。 47→これが2002年に開通した新大峠トンネル(L=2928m)です。このおかげで左に向かう旧道を通らなくてもいいようになりました。 48→いの町広瀬交差点で194号線と交差します。ここは439号線の大豊方向は左に誘導しているのでわかりやすいです。
49→6km弱で重複区間は終わります。 50・51→194号線から32号線までは41kmありますが、この区間は郷の峰峠越えを含めてほぼ全区間が快走路になっています。交通量も少なく時間が稼げます。
52・53→早明浦ダムの近くにある道の駅「土佐さめうら」です。あまり休憩・食事などができる場所が少ないこの路線では何でも揃っているので重要な施設です。 54→吉野川沿いのほぼ平坦な路線です。
55→この表示はコンクリートの苔をきれいに削って作ったもので芸術を感じました。 56→高知道の大豊ICはこの路線上にあります。 57→大豊町の高須交差点で32号線と合流します。ここは高松方面に行きます。
【3:終盤戦 大豊町~京柱峠(県境)越え~見ノ越】
58→33号線を11km走れば西土居交差点でこの分岐に入ります。 59→「三好市34km」はどこをさしているのか不明です。市街地または見ノ越までなら短すぎます。 60→トンネルが開通すればかなりの道路改良になりますが、いつになることやら…。
61・62→この辺りは完全な軒下酷道といえるような場所です。 63→農道よりも国道の方が明らかに道幅が狭いような気がします。標識がなければミスコースするでしょう。
64→一気に登ってきたのではるか眼下に先ほどの集落が見えます。 65→この辺の無人販売で売っているトマトは完熟しているような感じで美味しそうです。 66→標高1000mぐらいまで登ってきましたがまだ集落がありました。
67~69→ここが標高1130mの京柱峠でここを越えれば徳島県です。かなり高知県側の眺望が良い場所で、小さいながらも軽食ができるお店もあり、記念撮影などもできる休憩場所がありました。どちらから来るにしても大変な場所なので、当然ですがほとんど誰もいません。
70→徳島県側は半ダートのような荒れ放題の路面です。 71→あと35kmで終点です。 72→本当にこれが国道か?と疑うような感じです。
73→半分以上ダートです。 74→でもこの標識を見ると間違って走行していません。 75→1回で回れるかどうか微妙という鋭角な場所がありました。
76→75の鋭角地点を反対側から見たところです。何とか切り返しなしで行けました。 77→徳島県道32号線とぶつかるところで、ここから最後の難関に向けての上りです。 78→少しだけ道路改良がされていました。
79→かなり山の中腹まで集落があります。国道からあそこまで行くのが大変そうです。 80→こんな山奥にもタクシー会社がありましたが、利用客がいるのでしょうか? 81→京柱峠越えの道に比べると路面はしっかりしています。
82→ここは奥祖谷の渓谷を周遊するモノレールみたいなものがあるようです。 83→あと10kmを切りました。 84→439号線沿いにも奥祖谷かずら橋というのがあります。
85~87→せっかくなので観光することにしました。西祖谷の有名なかずら橋よりは小さな橋ですが、こちらの方がスリル感はありそうです。またそのすぐ近くに野猿もありました(右写真)。
 
88→ここが最後の上りになります。
   (来た方向を逆から撮影しています)
89→終点になる見ノ越です。標高で1410mで439号線及び438号線はここが最高所になります。以前は神山町を越えて徳島市まで439号線でした。